15年前アメリカで交通事故にあった。
夫は膝を、私は指の骨を骨折。
手術の日は、朝から二人ともほとんど口をきかなかった。
「麻酔から目がさめなかったらどうしよう」
「何かあったとき、専門用語がわかるだろうか。」
私は重い気持ちで車いすを押して待合室に入った。
夫はギブスをはめ、私は手に白い包帯を巻いていた。
すると恰幅のいい50歳くらいの看護婦さんが、突然叫びだした。
「あ~ら、どっちが先だったの? あなたが奥さんを蹴っ飛ばしたの?
それともあなたが旦那さんをパンチしたの?」
それを聞いて私たちは思わず、声をあげて笑い出した。
その途端、それまで私をぎゅーと抑えつけていたものが、ふっと取れて体が急に軽くなった。
息が吸えるようになった。それは久しぶりの笑いだった。
ユーモアは、悲劇を喜劇にしてくれる。
今、私の義父は病院に入院している。酸素マスクをつけたままで、あまり話もできない。
でも私とじゃんけんはできるし、指相撲もできる。
今のところ15勝5敗で私が勝っているが、父もだんだん慣れてきて、右手では勝てるようになった。
惚けないように、毎回クイズも出している。
「今日のクイズです!お父さんには孫が二人います。さあ何という名前でしょうか?」
「かずと と ともや」
「ピンポーン!」
こんな大きな声を出したら他の患者さんに迷惑だと思うかもしれないが大丈夫。周りの患者さんはみんなお年寄りで、よく聞こえてないのだ。
私は医者ではないので、病気を治すことはできない。
でも笑顔を絶やさないこと、明るい口調で話すこと、
少しでも面白いことを見つけたらみんなと一緒に笑うことだったらできる。
笑ったら、辛い気持ちを忘れて、また元気が出てくる。 ユーモアは元気のもと。
さて今度はどんな面白い質問をしようかしら。
2012年 9月
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