私が広めたいユーモアは、
温かいユーモア、ほっとするユーモア、
困難なときに緊張をほぐしてくれるユーモア。
では、人を傷つけるユーモアとは?
思い出されるのは、今から10年近く前のこと。
東京のトーストマスターズクラブ(スピーチクラブ)に
海外から、有名なゲストスピーカーMr.Gが来て、スピーチをしてくれると聞き、
見に行きました。
私はMr.Gのスピーチを以前youtube で見て感動したからです。
ストーリーの作り方といい、声の出し方、ジェスチャーといい、素晴らしいものでした。
自分のクラブ以外の例会に参加するのは、勇気が入りましたが、
せっかくのチャンスと思い、夜の街 東京にでかけて行きました。♪
部屋に入ると、仕事帰りの30代、40代のメンバー。
若々しく、やる気満々のメンバーが慌ただしく準備をしていました。
アラフィフだった私は、少し居心地の悪さを感じました。
(もしかしたら、私が最年長?)
全部で20名くらいいたでしょうか。
いくつかスピーチがあり、
いよいよお待ちかねのゲストスピーカーのスピーチです!
Mr.Gは、細長いコの字型のテーブルの端で感情豊かに語り始めました。
声のトーン、間のとり方、完璧です。
Mr.Gには、若い時好きな女の子がいました。
ある時話しかけるチャンスがやってきました。
Mr.Gは、「話しかけよう」と言いながら、
左側に座っていた30代の女性に近づいて行きました。
その直後事件は起きたのです。
Mr.Gは、その30代の女性に行くと見せかけて、
急に向きを変え、
右側に座っていた私の方に近づきでこう言いました。
「女の子ではなく、彼女のお母さんに」
(私はおかあさん~?!)
好きな女の子に話しかけると思いきや、母親に話しかけたと、
予想と反することを言ったので、会場は爆笑。
でも私は全く笑えませんでした。
「みんなに笑われている」
というなんとも言えない嫌な気持ちになりました。
Mr.Gは私に「彼女のお母さんに」と言い終わったあと、
両手を合わせて謝るポーズをしました。
悪いという思いはあったのでしょう。
私は頭が真っ白になって、
その後のスピーチは一切入ってきませんでした。
うなだれて帰った覚えがあります。
私はその日強く思いました。
「いくらコンテストに勝つためでも、
笑いを取るためでも
私は決して人を傷つけるようなスピーチはしない!」
「そんなにショックだったの? たいしたことないじゃない」
「それくらいのことで傷つくなんて、マーサ、ユーモアセンスないじゃん!」と
言う人がいるかもしれません。
その事件数年後、ユーモアアカデミーに入会、
ユーモアを勉強しはじめて
ユーモアにもいろいろあることを学びました。
ジョークやからかいも入るのですが、
その手のユーモアでは、
相手との信頼関係がとても大事です。
親しい間では笑えることも
親しくない相手とは笑えないことがあります。、
例えば、夫は髪の毛がほとんどないので、
時々「ハゲちゃん♥」と呼ぶことがありますが、
それは夫婦内だからできることで、
友人に同じような髪型の人がいたとしても
同じように呼ぶことはできません。
また体調も大事です。
機嫌が悪い時に冗談を言われると
イラッとすることもあります。
あのとき、私がそれほど年齢に敏感になっていなかったら、
Mr.Gが、スピーチの前に一言話してくれていたら、
あれほどショックは受けなかったかもしれません。
今だったら笑って受けて、母親の素振りもできますね。
スピーチ後にMr.Gに話しかけて、
「ちょっと~私を年寄り扱いして~まったく~」なんて
からかってみたい気がします。(笑)
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