「もう二度とディベートなんてやるもんか!」私は心に誓った。23歳の秋のことだ。

文化センターで取った英語のクラスでディベートをして、どう考えても当たり前と思う

論題で負けたのである。それから20年以上、私はディベートと顔を合わせなかった。

そんな私がディベートと再会することになったのは、井上敏之氏との出会いである。

勧められるままディベートのクラスを見学した私は
ディベートに 対する考えが180度変わってしまった。

勝ち負けが全く気にならないし、
どんなにたどたどしいスピーチになっても
褒めてくれるので、やる気が出る。

第一印象が悪くて避けていたディベート君は
実際話してみたら、とても いいやつですっかり気に入ってしまった。

 

ディベートを始めてからちょうど1年になる。
ディベーターとしての私の成長は目を見張るものがある。

私がそう言うのだから間違いない。たった1年でこんなに上達 してしまったら一体3年後どうなるのか!

―というようにどんどん自信がつき、気持が大きくなる。

(夫に言わせると態度もだそうだ)

 

ディベートを始めて良かった点は、2つある。

1 相手の立場で考えることができるようになった。

2 聞き上手になった。

 

クラスでは、どちら側に立つかじゃんけんで決めてディベートをする。

賛成側でも反対側でも理由を考えなければならない。

今までは、自分と違う考えの人と話すと感情的になっていたのだが、

ディベートを始めてからは、相手のポイントを一生懸命聞こうとするし、

相手側に立ったら同じようなことを言うと思えるようになった。

「私もお母さんの立場だったら、そう思うかもしれない。」

ディベートのお陰で、母や息子との関係もずっと良くなったと思う。

 

「聞き上手」は、コミュニケーションの基本。話す前に聞くこと。耳は二つ、 口は一つ。

話す訓練をする学校はたくさんあるが、聞く訓練をする学校は聞いたことが ない。

しかし、ディベートをすると、この「聞く力」が非常につく。

1分間スピーチを聞いて要約し質問、最後に評価するという練習を何回もするからだ。

最初、小学生1年生の男の子が相手の時は、
何を質問していいかわからなかった。

でも何十回、何百回(大袈裟?)も繰り返しているうちに、
どんな話が聞けるかワクワクするようになった。 

そう思って聞くから、顔にも出るらしく、話す方も嬉しそうに話してくれる。

ディベート君は、私に「聞くこと」を教えてくれた恩人である。

 

2009年 9月